低用量ピル(OC)

低用量ピル(OC)とは?

低用量ピル(OC)は、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という二つの女性ホルモンを合成し、避妊のために開発された薬剤です。(以下、OCと表記)

その成分は、卵巣で作られるホルモンとほとんど同じ構造をしていることから、一定期間服用を続けると、脳はすでに十分な量のホルモンが分泌されていると判断し、卵巣からのホルモン分泌を抑え、排卵をストップします。

また、子宮内膜の増殖を防ぎ、受精卵を着床しにくくする作用や、子宮の入り口(頸管:けいかん)の粘液を濃くして、精子の侵入を防ぐ作用もあることから、高い避妊効果が期待できます。

従来からあった中・高用量のピルは、副作用などの問題から、使用をためらわれることもありましたが、OCは、配合するホルモン量を低く抑えているため、高い避妊効果を維持しつつ、副作用は大幅に軽減され、安心して使用することができるようになりました。

低用量ピル(OC)とは?

OCの効果(メリット)は?

OCには以下のような特徴(メリット)があります。

避妊率はほぼ100%

OCを正しく服用すれば、ほぼ100%に近い避妊効果が期待できるという点です。この数字は、コンドームを使用した場合の妊娠率が約2%〜約20%といわれているのに対しOCの妊娠率はわずか約0.3%と、外科的な避妊手術を行うのと同等の効果が得られることを表しています。

また、男性任せだった避妊を自分から行うことができるのも大きなメリットです。(※飲み忘れには注意が必要です。妊娠の可能性が上がってしまう可能性があります。)

妊娠を防ぐ3つのOC作用

排卵のストップ

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排卵のストップ

OCを服用すると、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲストーゲン)が血液中を循環します。血液中の女性ホルモンが十分ある状態になります。

精子の子宮内進入の抑止

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精子の子宮内進入の抑止

黄体ホルモン(プロゲストーゲン)の働きで、子宮頸管粘液の性状が変化して(粘性を高める)、精子を子宮内に入りにくくします。

受精卵着床の抑止

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受精卵着床の抑止

OCを服用すると子宮内膜が薄くなり、たとえ排卵が起きて受精した場合でも、受精卵が着床しにくい状態になり、妊娠を防ぎます。

画像引用元<invitra.com

OC(低用量ピル)の効果

本来子宮の内側にしか存在しない子宮内膜に似た細胞組織が、卵管、腹膣内、直腸の表面など、さまざまな臓器に発生する病気です。

子宮内膜症は、決して珍しい病気ではなく、月経のある女性の10~20%程度の人に発症し、30代~40代の女性に多く発症しますが、最近は10~20歳代の若い世代にも多くみられます。

子宮内膜症は、発生した場所によって、「子宮内膜症」と「子宮腺筋症」に分類されています。内膜症が発生した場所や病巣の大きさによって自覚症状は様々ですが、一番重要な症状は月経痛(生理痛)です。

不正出血や激しい月経痛(生理痛)、下腹部痛が特徴ですが、他に腰痛や性交痛、肛門の奥や排便時の痛みや吐き気、嘔吐などの症状がみられるほか、不妊の原因にもなります。子宮腺筋症では、ひどい月経痛(生理痛)と同時に、過多月経の原因になります。どのタイプの子宮内膜症も重症になると、月経が終わっても痛みが続くようになります。

また、内膜症組織が卵巣にできると毎月の出血がたまり、溶けたチョコレートのような古い血液でふくらんだチョコレート嚢腫とよばれる卵巣腫瘍になります。

OC(低用量ピル)には避妊以外の効用も

「避妊のための薬」というイメージが強い低用量ピルですが、避妊以外にも女性の健康に多くのメリットがあることから、最近では、生理に関するトラブルの改善や体調管理のために服用する女性が増えています。

海外では、避妊や月経調整のほか、ニキビの治療として10代から使用されている例も多くあります。ここ最近ではうまく自分のライフスタイルにOC(低用量ピル)を取り入る女性が増えています。

OC(低用量ピル)を服用することで一番実感できることは、月経に伴う不快感が少なくなることでしょう。それにより、仕事でもプライベートでも常に安定した自分を築き、充実した日々を送ることができます。用法をきちんと守れば、女性にとってうれしい効用がたくさんあるのです。

保険が適用されないため、OCによる治療は自費となりますが、女性特有のつらい症状が改善するだけでなく、生理周期により変動する体調をコントロールする効果もあることから、忙しい現代女性の健康を維持し、アクティブな生活設計をサポートするアイテムとして、幅広い年代の女性に取り入れられています。

「使ってみたいけれど恥ずかしい」「どうやって使うのかわからない」「どこへ相談すればいいの?」など、興味はあるけれど未経験という方はOC(低用量ピル)外来へ。1999年に低用量ピル(経口避妊薬:oral contraceptive 以下、OC)が日本で認可されました。

OC(低用量ピル)は避妊するためのもので、OC(低用量ピル)=セックスと連想してしまい、OC(低用量ピル)を服用することに抵抗を感じている女性も多くいらっしゃいます。

しかし現在は、OC(低用量ピル)服用者の約8割が避妊以外を目的として内服しているとも言われています。 OC(低用量ピル)はいつでも始められ、そしていつでもやめられます。 あなたのライフスタイルにあわせて使うことができます。

月経(生理)周期をコントロールできます

月経(生理)周期とは、「月経(生理)の始まった日から次の月経(生理)が始まる前日までの日数」をいいます。OCを服用するとこの月経(生理)周期がキチンと28日周期になり、月経(生理)がいつ来るかもわかるため、毎月のスケジュールが立てやすくなります。

また、旅行といった月経(生理)が重なると困る場合でも、OCで月経(生理)を簡単にずらすことができます。「いつ月経(生理)が来るかわからない」という心配がなくなるので、仕事やプライベートの行動範囲もより広がります。

その他の効果

生理痛・過多月経の緩和

生理痛の多くは、増殖した子宮内膜から「プロスタグランジン」という痛み物質が大量に放出され、子宮を収縮させることで起こります。

OCには子宮内膜の増殖を抑える作用があるため、プロスタグランジンの産生が減り、子宮の収縮運動を抑えることで生理痛が軽減します。また、経血量も減少することから、過多月経による貧血症状の改善も期待できます。

※生理痛の原因が月経困難症や子宮内膜症と診断された場合は、OCと同じ成分の保険ピル(LEP)の処方が可能です。

生理不順の改善

生理不順とは、「無月経(生理が3か月以上ない)」「ダラダラ続く」など月経周期が不規則になる状態で、多くは食生活の乱れや無理なダイエット、ストレス、環境の変化などにより、体内のホルモンバランスが崩れることで起こると考えられています。

OCを服用すると、ホルモンのバランスが整うため、28日周期で規則正しく生理が起こるようになり、生理不順が改善されます。次の生理がいつ始まるかが前もって分かるようになるため、旅行などの予定も立てやすくなります。

また、日頃からOCでホルモンバランスを整えておくと、服用をストップした時に良い排卵が起こりやすくなることから、希望した時期に妊娠・出産することも可能になります。

月経前症候群(PMS)の緩和

月経前症候群(PMS)は、生理の3~10日前くらいから始まる心身のさまざまな不快な症状(吐き気やめまい、むくみ、頭痛、不眠、イライラ、うつなど)が特徴で、排卵時に分泌される大量の黄体ホルモン(プロゲステロン)が原因で発症すると考えられています。

OCで排卵を抑制すると、黄体ホルモンの分泌も抑えられるため、不快な症状が軽減します。

大人ニキビ、多毛改善

頬やあご、口周りなどの「Uゾーン」にできる大人ニキビは、卵巣や副腎で作られる男性ホルモン(アンドロゲン)やプロゲステロンの過剰が原因で起こると考えられています。

OCに含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)にはアンドロゲンを抑える作用があることから、ニキビを改善することが可能です。(特に治りにくい場合は、アンドロゲンの抑制作用のある「スピロノラクトン」という利尿系降圧剤を併用することもあります。)

なお、アンドロゲンは多毛の原因にもなることから、OCを長期間服用していると徐々に体毛が薄くなり、多毛症の改善にも効果が期待できます。

月経移動(生理日のコントロール)

月経移動(生理日のコントロール)

OCの応用的な使用法として、「月経移動」があります。受験やスポーツの試合、旅行などの大切なイベントが生理と重なってしまいそうな時、OCで生理周期を調整して、生理日を移動することが可能です。

薬で生理日を移動しても、次の生理は普段通りに来るので、特に心配ありません。

使用方法①:生理を早める場合

≪方法≫生理開始後、5日目までに内服を開始し、生理を避けたい日の10日前まで7~10日間続けた後、服用をストップすると、3~4日後に生理のような出血が始まる

≪特徴≫1か月程度の余裕が必要ですが、イベント時にOCを服用しなくて済むのがメリットです。開始日や服用日数は生理を早めたい日に合わせて調整します。

使用方法②:生理を遅らせる場合

≪方法≫普段からOCを服用している方に限り、生理を遅らせたい日まで継続して内服することで日程をずらすことが可能です。

(但し、OCの種類によって中用量ピルを内服する必要があります)

≪特徴≫調整期間が短いのがメリットですが、イベント時も服用が必要なため、吐き気や頭痛などの副作用が出ることがあります。

※短期間で調整したい場合は中用量ピルを使用します。

低用量ピル(OC)の種類と費用

OCは、製品によって含まれる成分や配合方法に違いがあります。現在、OCに使用されている卵胞ホルモン(エストロゲン)は、「エチニルエストラジオール(EE)」の1種類しかありませんが、黄体ホルモン(プロゲスチン)には3つの種類があり、開発された順に1~3世代に分けられます。

また、「1相性ピル」と「3相性ピル」というホルモンの配合方法による分類もあります。1相性ピルは、周期を通してホルモンの配合量が一定のため、飲み間違いの心配がないのがメリットです。それに対して3相性ピルは、女性周期に合わせて配合量を3段階に増減させて、使用するホルモンの総量を減らすことができるため、身体に優しいのがメリットです。

薬によってそれぞれ特徴があるため、使用する目的や薬との相性(副作用の有無など)を考慮してご自身の体に合う薬を見つけることが大切です。

なお、OCの処方は自費診療のため、全額自己負担となります。初診時にはピルシートの費用以外に相談料(血圧測定、問診、内服指導料含む)の3,200円(税込)が別途かかります。

※スクロールできます

世代 特徴 製品名 費用(税込)
第一世代
  • 女性周期に合わせ配合量が3段階に変わる3相性ピル
  • 出血量が減りやすく、月経困難症のコントロールに優れ、子宮内膜症の治療効果も高い
シンフェーズT28 2,300円
第二世代
  • 女性周期に合わせ配合量が3段階に変わる3相性ピル
  • 不正出血が少なく、安定した周期を作りやすい
トリキュラー28 2,400円
ラベルフィーユ21/28 2,100円
第三世代
  • 配合量が一定の1相性ピルで、ホルモンが一定のためPMSにも効果的
  • 男性ホルモン(アンドロゲン)作用の抑制効果が高く大人ニキビ、多毛症の改善に優れている
マーベロン28 2,400円
ファボワール21/28 2,100円

オンライン診療も利用できます

当院で継続してピルを内服されている方などに限り、オンライン診療等での処方もお選び頂けます。

クリニックに来院することなく、ご自宅や会社からでも処方を受けられ、ご自宅に郵送されますので、通院の負担軽減および利便性の向上(時間の有効活用)にお役立てください。

低用量ピル(OC)のオンライン診療はこちらから

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当院では、低用量ピルを使った治療に力を入れています。低用量ピルは正しく服用すればメリットがたくさんあります。

オンライン診療

OCのマイナートラブル(慣れるまでに感じる症状)について

マイナートラブル 通常は1~2ヶ月でおさまります。OCをのみ始めたらマイナートラブルと呼ばれる症状が出ることもあります。

  • 頭痛
  • だるさ
  • 軽い吐き気
  • 乳房の張り
  • 下腹部痛
  • 不正出血

これはOC(低用量経口避妊薬)によって体内のホルモンバランスが変わるため、体が慣れるまでに感じる症状です。多くの方は1~2ヶ月のみ続けているうちにおさまっていきます。
※こうした症状が長く続く、だんだんひどくなっていくなど、気になることがあればご相談ください。

動画でわかる低用量ピルの基礎知識

生理不順

生理痛

ニキビ

更年期障がい

生理日移動

低用量ピル(OC)に関するQ&A

ピルを飲んでいて、将来、妊娠しにくくなりませんか?

OCの服用で卵巣の機能が低下することはありません。低用量ピルの服用を中止すると、多くは通常1~3か月以内に排卵が起こり、妊娠が可能になります。もちろん、お腹の赤ちゃんへの影響もありませんのでご安心ください。

むしろピルを飲むことにより、計画的に妊娠・出産を進めることができるので、望まない時はしっかり避妊し、子供が欲しくなった時に産めるということが、低用量ピル(OC)の大きなメリットでもあります。

ピルの長期服用による体への影響はありませんか?

ピルは、長期服用することを前提に作られた薬であるため、基本的に飲み続けていても問題はありません。ただし、ピルの服用中は、体調を観察するため、6か月毎に定期検査を受けていただく必要があります。

特別な異常がない場合は、そのまま服用を続けていただけます。

ピルは何歳まで使用できますか?

世界保健機構(WHO)によると、生理開始後から閉経まで服用可能と言われています。ただし、40歳以上の方は、心筋梗塞などの心血管系障害が起こりやすくなるため、慎重に使用する必要があります。

使用に際しては医師にご相談ください。

生理不順でいつ生理が来るか分かりません。いつから服用を開始すれば良いですか?

生理周期がバラバラでいつ始まるか分からないような場合、患者様の状況に合わせて処方時に服用開始日をお伝えします。その指示に従って服用開始して下さい。

授乳中にもピルを使用することは出来ますか?

ピルの内服は、母乳量や質の低下を招き、ピルの成分が母乳に移行し、乳児に影響を及ぼす可能性もあります。しかし、授乳時期や状況により、内服可能となる場合もあります。

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