子宮頸部レーザー蒸散術

子宮頸部異形成の治療法について

子宮頸部異形成

子宮頸がん検診で見られる異常の中には「異形成」と言われる病変があります。わかりやすく例えると、正常な状態を「白」、がんを「黒」とするならば、異形成は「モモ色」の状態です。この灰色病変にも白に近いモモ色と赤に近いモモ色があります。

正常に近い(白に近い)状態から、癌に近い(赤に近い)状態につれて、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)と3段階に分類されます。

軽度異形成(CIN1)のほとんどが自然治癒して正常細胞に戻っていきます。しかし、軽度異形成(CIN1)や中等度異形成(CIN2)の一部で自然治癒が難しく、高度異形成・上皮内癌(CIN3)に進行していくものがあります。

これらを放っておくと「子宮頸癌(扁平上皮癌)」へと進行しまい、子宮摘出になってしまう場合があります。これらの治療法として円錐切除術とレーザー蒸散術があります。

子宮頸部異形成の状態

一般的には、軽度異形成(CIN1)と中等度異形成(CIN2)の異形成までは、数か月ごとの経過観察で問題ありません。

高度異形成(CIN3)では全世界で広く行われている手技の円錐切除術を行うことが一般的です。

この治療法は病変がある子宮の入り口を円錐形にくり抜く手術方法で、高度異形成はほぼ100%治癒します。しかし、早産・流産といった可能性の増加が考えられています。

子宮頸部レーザー蒸散術を実施しております

子宮頸部レーザー蒸散術

子宮頸部レーザー蒸散術とは?

子宮頸部異形成(子宮頸がんの前癌状態)が発生した部位にレーザーを照射し、病変を焼いてしまう治療法です。

子宮頸部を蒸散するだけなので当然、早産のリスクとはほとんど回避できます。また出血もほとんどないので安心していただける治療です。子宮頸部レーザー蒸散術は円錐切除術と違い、手術によって宮頸管が短くなることはなく、その後の妊娠に対して影響を及ぼすことがない治療法です。

治療をした9割以上の方で病変が消失し、原因となるヒトパピローマウイルスも消失します。また、蒸散術は麻酔が必要ないため、日帰り治療が可能です。

手術終了時には、レーザー蒸散部に「かさぶた」が形成され止血します。このかさぶたがはがれるのは術後約4日~7週間ですので、術後しばらくしてから出血することがあります。

レーザー蒸散部の傷が治癒するまでには約4~6週間かかります。

子宮頸部レーザー蒸散術の適応条件

  • 16、18、31、33、35、45、52、58型の8種類が検出された方
  • CIN1(軽度異形成)が認められ、1年以上経過し継続している方
  • CIN2・CIN2~3(中等度異形成)が認められた方

治療後の過ごし方

治療後の過ごし方

翌日から通常の生活を送ることができますが、蒸散された組織が再生し、元に戻るまでに約4-6週間程度かかります。

それまでの間は少量の出血やおりものが続くことがあり、性行為は避けていただく必要があります。また術後3か月後から定期的に診察に来ていただくこと必要です。

  • 手術直後に腹部違和感、軽度腹痛を感じることがあります。
  • 生理痛がなかった人も稀に生理痛を感じるようになる場合があります。
  • ごく稀に頸管閉塞を起こす場合があり、再開通術が必要となる場合があります。
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