生理不順とは
一般の女性の生理の間隔、つまり月経周期は28日~30日といわれています。その日数でなければ異常ということではありませんが、25日以内で月経が来たり、40日過ぎても月経が来ない場合があります。
このように生理の間隔があまりにも不順な場合のことを「生理不順」といいます。このような場合には、何らかの原因を考えなければなりません。
生理不順の主な原因
生理不順の原因は何なのでしょうか?様々な原因が考えられますが、主にストレスや無理なダイエットが挙げられます。他にも排卵障害、高プロラクチン血症等ホルモンバランスの異常を考えなければなりません。
いずれにしろ、生理不順を長期にわたって放っておくと不妊症や早発閉経を招くこともあり、膣炎や肌荒れの原因にもなります。早目の検査及び、治療が重要です。当クリニックの婦人科では、このような生理不順の症状にも対応しております。
生理痛(月経困難症)とは
子宮の中に剥がれ落ちた内膜や血液が溜まると、それを押し出そうとして子宮自体が収縮します。この時に生じる痛みが生理痛(月経痛)です。このときの収縮の強さと痛みは比例します。
日常生活に支障が出るほど重く、治療が必要になるほどのものを「月経困難症」といいます。具体的には「ひどい痛みで起き上がることができない」「月経のせいで学校や会社へ行けない」 「家事もできないほどつらい」などのレベルだと月経困難症と診断されます。
月経困難症のなかには、機能性月経困難症と、器質性月経困難症があります。
機能性月経困難症
機能性月経困難症とは、疾患がない正常な子宮であるにも関わらず、鎮痛剤を必要とするほどの痛みを感じる症状です。
原因としては、子宮や卵巣が未成熟だったり、子宮内膜で分泌されるプロスタグランジンが子宮を過剰に収縮させている可能性が考えられます。この生理痛は、思春期に起こりやすい症状です。
器質性月経困難症
器質性月経困難症とは、子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫などの疾患が要因で生じる月経痛のことを指します。特に器質性月経困難症は、自然な月経を繰り返すことで進行する恐れが高く、不妊症の要因にもなるので、放置は厳禁です。
こちらは20代中後半から多くなります。生理痛の症状は、生理初日~3日目ごろを過ぎても続きます。生理期間以外にも痛みを感じる場合もありますので注意が必要です。
当院では、今すぐ妊娠希望のない方へは、低用量ピルによるコントロールをおすすめしております。ピルについては下記のリンクから詳細をご確認していただけます。
詳しくは【低用量ピル】をご覧ください月経困難症の主な原因
月経困難症は原因がよくわからない「機能性月経困難症」と、原因が特定できる「器質性月経困難症」の2つに分けることができます。
比率としては機能性が75%、器質性が25%です。機能性月経困難症は、月経時のみ痛みがあるタイプです。これは月経時に子宮内膜で作られるプロスタグランジンが原因と考えられています。
プロスタグランジンはホルモンに似た働きをし、痛みの元になりますが、機能性の場合はこのプロスタグランジンが通常よりも多く作られてしまうのです。
一方、少数派の器質性月経困難症は、痛みを引き起こす原因がはっきりしているタイプです。痛みの原因で多いのは、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、骨盤内うっ血症候群、骨盤内感染症といった、子宮やその周辺の病気です。
また病気ではなく、子宮の入り口が狭くなっていると子宮内膜が通りにくく、痛みを生じることがあります。生まれつき狭い場合もあれば、ポリープなどで狭くなる場合もあります。
月経困難症の治療について
月経困難症の診断や治療は、産婦人科で行います。検査で機能性と診断された場合には、プロスタグランジンが痛みの元になっていることがわかっているので、これによく効くタイプの鎮痛剤で症状を抑えることができます。
そのほかにもピルや漢方薬など、薬物療法がメインになります。妊娠をすぐに希望されない場合は、ピルの服用が基本的な第一治療となるでしょう。検査で子宮やその周辺に疾患が見つかり、これが痛みの原因と判明した場合には鎮痛剤では根本的な解決になりません。
器質性月経困難症と診断された時は、痛みの元になっている病気の治療を進めていくことになります。そうすることで月経困難症の回復につながります。
例え、器質的な異常が存在しない月経困難症だったとしても、放置すると自然な月経が阻害され、不妊症の原因となる子宮内膜症などを発症するケースが増加しています。
リスク上昇を回避し、いずれ妊娠を希望する状況になるまでその機能を温存するためにも、ピルの継続服用をすることで月経の痛みや不快症状から心身を開放してはいかがでしょうか。毎月繰り返す痛みが解消されると心身にかかるストレスが軽くなりますので、生活品質向上にもつながるはずです。
子宮内膜症とは

本来子宮の内側にしか存在しない子宮内膜に似た細胞組織が、卵管、腹膣内、直腸の表面など、さまざまな臓器に発生する病気です。
子宮内膜症は、決して珍しい病気ではなく、月経のある女性の10~20%程度の人に発症し、30代~40代の女性に多く発症しますが、最近は10~20歳代の若い世代にも多くみられます。子宮内膜症は、発生した場所によって、「子宮内膜症」と「子宮腺筋症」に分類されています。
内膜症が発生した場所や病巣の大きさによって自覚症状は様々ですが、一番重要な症状は月経痛(生理痛)です。不正出血や激しい月経痛(生理痛)、下腹部痛が特徴ですが、他に腰痛や性交痛、肛門の奥や排便時の痛みや吐き気、嘔吐などの症状がみられるほか、不妊の原因にもなります。
子宮腺筋症では、ひどい月経痛(生理痛)と同時に、過多月経の原因になります。どのタイプの子宮内膜症も重症になると、月経が終わっても痛みが続くようになります。また、内膜症組織が卵巣にできると毎月の出血がたまり、溶けたチョコレートのような古い血液でふくらんだチョコレート嚢腫とよばれる卵巣腫瘍になります。
子宮内膜症|簡単セルフチェック
- 月経痛が強い
- 月経痛がだんだん強くなってきている(鎮痛剤が効かない)
- 慢性的な骨盤痛がある
- セックスの時に奥の方が痛い
- 排便時痛がある
- 月経の量が多い、レバーのような血のかたまりが出る
- 月経期間が長い
辛い生理、我慢はNGです。病気の可能性もあります。
生理痛はあって当たり前と思っていませんか??
日常生活に支障が出るようなら、その考えは見直してみましょう。
